複数の自治体が連携して取り組む共通テーマ「スポーツまちづくり」の紹介です。地域おこし研究員の活動を通じて、期待される成果を紹介します。(担当:松橋崇史・岩月基洋(慶應義塾大学SFC研究所上席所員))
地方創生推進に向けて新たな仕掛けを行うためには、地域の資源を様々な手段を用いて、集約させて、顕在化させていくことが必要である。
スポーツは、その際の重要なコンテンツである。そのわかりやすい例に地方都市に生まれたプロクラブがある。例えば、長野県松本市では、2002年のFIFA日韓W杯を契機にプロサッカークラブが誕生し、隔週で2万人ものサポーターを集め、域内外からの人や投資を引き込むことで、地域活性化に寄与することに成功した。
プロクラブに限らず、地方都市に、「強くて盛んな」(強い選手が集い、人が惹きつけられる)シンボルスポーツが生まれれば、域内外の人を惹きつけることが可能となり、「①観光/宿泊、それに紐づいた文化的サービス」「②体験型サービスとツーリストの健康増進」「③地元での選手育成と地元住民の体験/観戦経験の誘発」等のサービス業が育たつ可能性が生まれる。
スポーツ施設を有し、地域スポーツの司令塔である自治体は、ビジョンの提示や計画の策定を含めた政策的なリソースを集中的に投入することで、シンボルスポーツの育成を推進することが可能である。地域おこし研究員の制度を併用することで、地域おこし研究員が大学と連携して、域内外の資源とスポーツ界との結節点となって、自治体のシンボルスポーツの取り組みを後押しすることが可能となる。
地域に大学と連携した学び場の設置
スポーツまちづくりに限らず、まちづくりに関心を持つものが集い、地域おこし研究員や大学の研究スタッフを中心に、新たな知識の習得や、地域の課題を議論・把握、事業のデザイン(リ・デザイン)を行っていく。
他地域との相互作用の活性化
スポーツまちづくりに取り組む他地域で活動する地域おこし研究員や地域の有志が、サテライト機能を用いて、地域や事業の課題・方法論を議論することで、自らの地域の課題や事業を客観的に捉え、日常的な取り組みのモチベーションを高める機会を創出する。
大都市にはシンクタンクなどのアドバイザリー機能が存在するが、地方自治体にはなかなか存在しない。大学と自治体が協働し、大学が自治体の公共政策におけるシンクタンクとして機能することで地方創生の起爆剤となる
スポーツ産業に関係する企業など(スポーツに関連するものづくりとひとづくり)。